全日本最優秀ソムリエの阿部誠氏に聞く、「シャンパーニュのブドウ品種」

全日本最優秀ソムリエコンクール第三回大会優勝、卓越した技能者「現代の名工」受賞など輝かしい実績を持ち、現在はシャンパーニュ『パルメ』のブランドアンバサダーを務める、シャンパーニュのスペシャリスト、阿部誠氏によるシャンパーニュコラム第3弾!

今回は「シャンパーニュのブドウ品種」について解説していただきます。

シャンパーニュ、基本の3ブドウ品種

阿部さん

シャンパーニュは基本的に3つのブドウ品種を使って造られます。大手メゾンの場合は多くの栽培農家と契約をしており、3つのブドウ品種を使い最終的にはそれぞれのブレンドの比率によって、メゾンのスタイルが特徴つけられており、またレコルタン・マニピュランに代表される小さなメゾンは、所在地のある村や産地のブドウ品種の特徴が表現されたシャンパーニュになります。以下に3つの主要なブドウ品種の解説をしていきます。

レコルタン・マニピュラン…シャンパーニュ地方でブドウ栽培から醸造まで自社で一貫して行う栽培醸造家の総称。

白ワインの女王!世界で最も有名な白ブドウ品種「シャルドネ」

阿部さん

シャルドネは、世界的に良く知られた白ブドウ品種です。果皮は緑色で果汁は透明感があります。多くの国で栽培され素晴らしい白ワインを世に送り出している事でも知られていますが、特にシャンパーニュ地方のシャルドネは酸味が豊かでミネラルに富んでいます。この酸味により長期間の瓶内熟成が可能となり、さらにエレガントさを与えてくれます。

シャルドネといえばコート・デ・ブランでしたよね!

阿部さん

はい、シャンパーニュ地方において、シャルドネはコート・デ・ブラン地区で主に栽培されています。多くの生産者はこの産地のシャルドネをよく使いますが、モンターニュ・ド・ランス地区の東側にあるプルミエ・クリュ、ヴィレル・マルムリィとトレパイユという村でも優良なシャルドネが栽培されています。「シャンパーニュ&スパークリングワイン世界選手権」のブラン・ド・ブラン部門で2021年と2022年に2年連続で世界一に輝いたシャンパーニュ・パルメはこの二つの村のシャルドネを主体としてシャンパーニュを生産しており、モンターニュ・ド・ランスのシャルドネのクオリティの高さが伺えます。

ブラン・ド・ブラン…フランス語で「白の白」を意味。白ブドウのみで造られるスパークリングワインのこと。

今後はモンターニュ・ド・ランスのシャルドネも注目ですね!

マッチョなブドウ品種?高貴品種「ピノ・ノワール」

阿部さん

ピノ・ノワールはシャルドネと対局的な位置付けのブドウ品種で、多くはモンターニュ・ド・ランスで栽培されています。果皮は黒ですが果汁は白い(透明な)のが特徴です。シャンパーニュ地方のピノ・ノワールは他の産地と比べると酸味が豊かで、役割としては果実感と膨らみを与えます。イメージ的には肉付きが良いマッチョな感じです。シャンパーニュ・パルメのブラン・ド・ノワールは、ピノ・ノワールとこの後に説明するムニエを50%ずつの比率でブレンドしており、二つとも黒ブドウですが、両方とも果汁が白い事により白いシャンパーニュが造られます。

ブラン・ド・ノワール…フランス語で「黒の白」を意味。黒ブドウのみで造られるスパークリングワインのこと。

力強い品種なんですね!

語源は粉屋さん、縁の下の力持ち「ムニエ」

阿部さん

ムニエは、ピノ・ノワールと同じく黒い果皮で白い果汁のブドウ品種です。大きく異なるのは成熟すると果皮に白い粉のようなものが付くのが特徴で、この粉から「粉屋さん」の意味を持つムニエという名前が付けられたとされています。因みに、舌平目のムニエルなども同じ語源なんですよ。ブドウ品種の特徴としては、渋みと酸味が少なく柔らかくまろやかさを与えるのと、シャルドネの強い酸味を和らげたり、ピノ・ノワールの果実味の強さを抑えたりなどの特徴を持っています。また、上記の2つの品種と比べて開花が遅いので、シャンパーニュ地方の遅霜の被害などを免れることも少なくありません。

料理のムニエルとブドウのムニエは語源が同じなんですね~。

実はこの3品種以外にも使われるブドウがある

阿部さん

あまり知られていませんが、実はこの3つのブドウ品種以外にもシャンパーニュ造りに認められているブドウ品種があります。ピノ・グリ、ピノ・ブラン、プティ・メリエ、アルバンヌ、ヴォルティスという5つのブドウ品種が認められており、主に南部のコート・デ・バールで栽培されています。全体の0.3%くらいの栽培量とかなり少ない生産量ですが、今でもこれらの品種を用いてシャンパーニュを生産しているメゾンは僅かに存在します。

次回第4回のコラムでは「シャンパーニュの泡の秘密」について詳しく解説していただきます。こうご期待!

阿部誠さん
2002年、第3回全日本最優秀ソムリエコンクールで優勝し、その後世界ソムリエコンクールの日本代表として出場。ホテル西洋銀座から、都内レストランの支配人兼シェフソムリエを経て、2004年に独立し、東京・銀座に「サロン・ド・シャンパーニュ・ヴィオニス」を開業。一般社団法人日本ソムリエ協会常務理事。2020年、卓越した技能者「現代の名工」受賞。