全日本最優秀ソムリエの阿部誠氏に聞く、「シャンパーニュと料理の相性」

全日本最優秀ソムリエコンクール第三回大会優勝、卓越した技能者「現代の名工」受賞など輝かしい実績を持ち、現在はシャンパーニュ『パルメ』のブランドアンバサダーを務める、シャンパーニュのスペシャリスト、阿部誠氏によるシャンパーニュコラム第6弾!

今回は「シャンパーニュと料理の相性」について解説していただきます。

阿部さん

これまではシャンパーニュの造り方の特徴について連載をさせていただきました。今回は、料理との相性および、その楽しみ方について解説をさせていただきます。

よろしくお願いいたします!

シャンパーニュのミネラルに富んだ酸味が食事を引き立てる

阿部さん

料理と合わせる場合、素材としては、根菜類のお野菜、貝類、白身魚、鶏肉、豚肉、仔牛肉などとの相性が良いと思います。シャンパーニュの持つミネラルに富んだ酸味がこれらの食材を引き立てるからです。

野菜も魚も肉も!?様々な素材と相性がいいんですね!

阿部さん

野菜であれば、大根や蕪、カリフラワーなどを茹でてフレンチドレッシングをかけたものや、温野菜をバターで和えた物などは、シャンパーニュの持つ酸味が素材の美味しさを引き立てます。

お野菜なら特に根菜との相性が良いんですね。

貝類との相性は抜群!

阿部さん

貝類であれば、数種類の貝をシャンパーニュで蒸して最後にバターを入れた料理は、シャンパーニュの持つ酸味が貝類を引き立て、格別のおいしさを発揮します。これらの手に入りやすい素材を使った料理とシャンパーニュの酸味を合わせる方法は手間がかからずに家庭でも簡単に楽しむことが出来ますよ。

そういえば、シャンパーニュの土壌は貝などの海の生物がそのまま地中に残って出来たんでしたよね。相性が良いのもなんだかうなずけます。

和食×シャンパーニュ 「旨み」がつなぐペアリング

阿部さん

シャンパーニュは、フランス料理と相性が良いのは当然ですが、実は和食との相性も素晴らしく良いのです。それは和食の要でもある「旨み」に理由があります。前回までのコラムでも説明したように、シャンパーニュは熟成による旨みを持ち合わせています。この旨み同士が合わさり、相乗効果で好相性となります。

熟成中に酵母が放出するアミノ酸がシャンパーニュに旨みを与えるんでしたよね。

阿部さん

例えば、椀物であれば出汁の旨みを中心に食材を引き立てる料理なので、シャンパーニュの旨みがその繊細さを引き立ててくれます。

和食や出汁の味わいとも相性がいいんですね。家庭でも楽しむ機会が広がりそうです。

フリットの応用?天ぷらとも好相性!

阿部さん

他の料理ジャンルでは、天ぷらも相性抜群です。油で揚げた料理はフレンチでもある技法で、例えば小魚のフリットを塩とレモンで食べる料理がありますが、それと同じような組み合わせ方ですね。天ぷらの素材の中でも春先の山菜や海老、小柱のかき揚げなどはシャンパーニュと最高の組み合わせです。特にシャンパーニュ・パルメは熟成の期間が長いので天ぷらとは素晴らしい相性を発揮します。

最近はシャンパーニュを提供する天ぷら屋さんも増えているそうですね。シャンパーニュの熟成感が好相性なのですね。

阿部さん

シャンパーニュ・パルメの生産者が来日した際に、天ぷら屋さんに招待してパルメのシャンパーニュとともにペアリングを楽しんだのですが、彼らもその相性の良さに舌鼓を打っていましたよ。
写真左:阿部さん、写真中央:パルメCEOのレミさん、写真右:パルメ輸出部長のレイモンドさん

生産者お墨付きのペアリングなのですね!

意外に合う?お肉とシャンパーニュのペアリング

阿部さん

また意外に思われるかもしれませんが、白のシャンパーニュはお肉との相性も楽しむことが出来ます。赤身の牛肉などは難しいのですが、鶏肉、豚肉、仔牛肉であればソテーしてレモンとサラダを添えるなどをすると簡単に家庭でも楽しめます。レストランなどではこれらの素材とクリームやキノコを使った料理と合わせ楽しんでいただきたいです。家庭ではなかなか出来ない至高の組み合わせを堪能することが出来るはずです。

お肉にも合うのは意外でした!ソテーはヘルシーで簡単なので気軽にトライできそうです。
レストランでは乾杯のときに飲むことが多いイメージですが、メインディッシュにも合わせ
られるのは楽しみの幅が広がりますね。

阿部さん

ご家庭で飲む時には、しっかりと冷やす事とグラスは細長いフルートグラスよりも卵型のグラスを使う方がシャンパーニュの特徴が最大限に発揮されるので、こだわりのある方はぜひお試しください。

フルートグラスは持っていないけど卵形のグラスなら自宅にあるという方も多いのではない
でしょうか。しっかり冷やしておすすめの料理と合わせて楽しみたいです。


家庭で試せるペアリングからレストランでの楽しみ方までありがとうございました!

阿部誠さん
2002年、第3回全日本最優秀ソムリエコンクールで優勝し、その後世界ソムリエコンクールの日本代表として出場。ホテル西洋銀座から、都内レストランの支配人兼シェフソムリエを経て、2004年に独立し、東京・銀座に「サロン・ド・シャンパーニュ・ヴィオニス」を開業。一般社団法人日本ソムリエ協会常務理事。2020年、卓越した技能者「現代の名工」受賞。